殺処分ゼロを目指して。犬たちのいのちと未来を守る遺贈寄付/ ピースワンコ・ジャパン

殺処分ゼロを目指して。犬たちのいのちと未来を守る遺贈寄付/ ピースワンコ・ジャパン

ピースワンコ・ジャパン(運営:認定特定非営利活動法人ピースウィンズ・ジャパン)

ピースワンコ・ジャパンは、犬の保護・譲渡活動を通じて日本全国で“殺処分ゼロ”を目指し、2012年から活動を続けています。全国で最も殺処分数が多かった広島県から活動を始め、現在は全国10か所に譲渡センターを構えるなど、活動と支援の輪を着実に広げてきました。
治療・飼養・トレーニングを経て、一頭一頭に新しい家族を探す地道な取り組み。支援者とともに歩んできたこれまでの道のりと、その寄付に込められた想いについて、遺贈寄付ご相談係マネージャーの榛田敦行さんと、広報マネージャーの青井玲奈さんにお話を伺いました。(取材日:2025年2月3日)

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青井 玲奈さん
学生時代は動物福祉を研究、企業経験を経て2022年よりピースウィンズに入職。2024年より広報マネージャーに就任。

榛田 敦行さん
肝炎訴訟の弁護団・原告団で患者・家族サポートを9年間したのち、司法書士の試験と行政書士の試験に合格。2020年、ピースウィンズ入職。

目次:

1. 犬や猫を愛する10万人の支援者とともに歩んできた道のり

___まず、ピースワンコ・ジャパンの活動について教えてください。

青井)2012年にプロジェクトを立ち上げ、広島県から犬の殺処分ゼロを目指す活動に取り組んできました。当時、広島県は全国で最も犬の殺処分数が多い県でした。目標は、日本全国で犬の殺処分をゼロにすること。活動開始以来、これまでに8,900匹以上のいのちを救ってきました。まずは広島、九州、四国など殺処分数の多い地域で保護活動を始め、全国の皆さまに支えていただきながら、少しずつ活動の輪を広げてきました。

新たに里親さんと出会う場となる譲渡センターも、全国に10か所設立しました。里親とのマッチングの機会を増やすことで、一人でも多くの方に保護犬を迎えていただけるよう、啓発活動や譲渡を拡げる活動にも力を注いでいます。

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さらに、これまでに培ってきたさまざまなノウハウを生かし、全国への貢献も視野に入れています。たとえば大阪府堺市では、自治体と協働し野犬の順化トレーニングを実施するなど、自治体と連携した取り組みも増えてきました。


___活動を支えてくださっているのは、どのような方々ですか。

青井)犬が大好きでずっと支えてくださる方が多いですね。少しずつ興味を持ってくださって、単発のご寄付からより深く関わってくださる方も少なくありません。現在約10万人の方が活動を応援してくださっています。


___10万人!それは大きな支援の輪ですね。遺贈寄付の相談も増えているのですか?

榛田)いまも急速に増え続けていて、毎年1.5倍ぐらい増えている状況が3〜4年続いています。遺贈寄付への関心の広がりを日々、肌で感じています。
ご相談内容としては、ご自身の遺言書を作りたいというものが多いですが、皆さんまだお元気で、実際に執行に至ったケースはまだわずかです。ご寄付いただいたケースとしては、財産を相続された方がその中からご寄付くださることが多いです。銀行や税理士さんからのお問い合わせも多いですね。


___静岡県・浜松の譲渡センターは、立ち上げに遺贈寄付を活用されたそうですね。

榛田)はい。首都圏での譲渡の際、広島で保護した犬たちを首都圏の譲渡センターに運んでいるのですが、広島と東京の間あたりにも拠点がほしいという話が団体内で出ていました。
ちょうどそんな折に、遺言の執行者の方からご連絡をいただきました。「動物好きだった方が、遺言書の中で寄付してほしいと記されていたので、ご連絡をしました」とのことでした。

その方はもともと首都圏にお住まいだったこともあり、「首都圏で譲渡される犬たちの役に立つのなら」と、立ち上げ時に必要な資金のかなりの額を、その方からの遺贈寄付のおかげでまかなうことができました。

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___これまで寄付者の方と向き合ってきた中で、印象に残っているケースを教えてください。

榛田)遺言書のご相談をいただいたことをきっかけに、遺言書の執行を待たずに、その時点で団体にご寄付くださった方のことをご紹介させてください。

その方は、犬の保護活動に関心を寄せて私たちにご相談くださったのですが、よくよくお話を伺うと、猫もお好きで、猫の事業にも寄付をしたいと考えていらっしゃいました。

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実は、私たちも以前から猫の事業にも取り組みたいと考えていたのですが、いろいろ課題があり実現できていませんでした。そこで、もし応援いただけるのであれば、当団体としても猫の保護活動をスタートできるかもしれないというお話をしたところ、「ぜひ自分の資産を使って活動をスタートしてほしい」とおっしゃってくださいました。

遺言書の執行を待つのではなく、「事業を始めるのに必要な資金を今から寄付します」と託してくださり、2025年1月から“ピースニャンコ”の活動が始まりました。

具体的には、西東京にある譲渡センターの中に、猫への医療行為ができる施設を作るプロジェクトにご支援をいただきました。お話をする中でお気持ちを知り、その想いをもとに私たちも新しい活動を開始することができました。

“ピースニャンコ”の活動は、立ち上げから1か月も経たないうちに100人を超えるサポーターの方にご支援をいただき、大変ありがたく思っています。


___ほかにも、遺贈寄付があれば実現したいと考えているプロジェクトはありますか?

青井)たくさんあります。ピースワンコの活動は、立ち上げから14年を迎えます。10年以上も経つと犬舎の老朽化も進んで、建て替えや修繕が必要になってきています。

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また、今後は、譲渡になかなかつながりにくい高齢の子や病気の子、障害がある子は、看取りまで寄り添っていくことが必要になります。
そういう犬や猫たちのために入院できる施設や、ケア中心の老犬・猫ホームのような施設にも力を入れていきたいと思っています。

2. 犬たちを支えたい。その根底にある愛犬への想い

___活動を支援されている方たちからは、どんな声が届いていますか?

青井)年に数回開催する対面イベントには、里親さんや支援者の方々が足を運んでくださり、実際に犬たちの散歩を体験したり、触れ合っていただいたり、看取りの施設を見学していただいたりしています。特定の犬を支援することもできるので、ご自身が支援している犬と触れ合っていただくこともあります。

皆さん、犬たちを支えたいという想いはあっても、「資格があるわけでもなく、毎日犬たちをお世話できるわけでもないので、ここで実際に毎日犬と向き合っているスタッフさんのお仕事を見たりお話を聞くことで、あらためて自分が“支援する意味”を実感しました」というお声をいただくことが多いです。涙ながらに想いを伝えてくださる方もいて、そうした声をお聞きすると、本当にとても嬉しく思います。

犬たちは言葉を発することができないからこそ、私たちが彼らの声なき声を伝えて、一人でも多くの人に保護犬のことを知ってもらい、彼らが里親さんたちの下で幸せな暮らしを送ってほしい――そんな想いが、ますます強くなります。

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榛田)首都圏の譲渡センターを見学される方、広島の犬舎を見学される方などさまざまですが、皆さん実際に現場を訪れると「自分の想いが生かされている」とおっしゃってくださいます。

遺贈担当をしていると、ご家族のファミリーヒストリーをうかがうことがよくあります。大変だったときに犬の存在に助けられたというお話が多く、「犬の存在に癒され、助けられたからこそ、恩返しとして犬のために寄付をしたい」というお気持ちを伺うこともあります。ご家族の想いや物語が遺贈寄付には込められているのだなと、その想いをお預かりしているのだな、と、お話を伺いながらいつも感じています。

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___遺贈寄付を担当される中で、「もっとこうなればいいのに」と感じることはありますか?

榛田)遺言でご寄付を託してくださるお気持ちはもちろんとても嬉しいのですが、生前からのつながりがあったらなお嬉しい、というのが一番思うことですね。遺贈寄付は想いを繋ぐ仕事だと思っています。亡くなられてから初めて遺言書でお気持ちを伺うことが多く、少し切ない気持ちになるのです。
遺言書をつくってくださるときに、せっかくでしたら直接その想いをお伺いし、しっかり受け止めて、直接お礼をお伝えしたいと思います。

私たちは相談係としてお気持ちをサポートすることに心を砕いています。まずはお気軽にご相談いただければ、託していただく想いやお金を、よりお気持ちに添う形で生かしていけるようサポートさせていただきます。

3. 遺贈寄付に興味を持っている方へのメッセージ

___最後に、遺贈寄付に興味を持っていらっしゃる方にメッセージをお願いします。

青井)日本の殺処分数の現状は、10年前と比べるとその数は約7分の1まで減ってきています。向こう10年で何とか全国の殺処分ゼロを実現したいと、活動を続けています。

実際に保護犬たちと接していただき、「野犬だった子たちもこんなにかわいいんだ」ということを、一人でも多くの方に知っていただきたいです。私たち民間団体は、行政や国の手が届かないところで命を救う活動をしています。殺処分ゼロに向けた活動を、一人でも多くの皆さんに応援していただけたら嬉しいです。

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榛田)私たちの活動に興味を持っていただき、ありがとうございます。現在、「殺処分ゼロ」になっている自治体もありますが、それで問題がなくなったわけではありません。そもそも、多くの団体が活動して初めて、「殺処分ゼロ」が維持できているのです。
そして、殺処分を免れた後も活動は必要で、それがなければこの状況を続けることも、維持することもできません。だからこそ、継続的なご支援が大きな力になります。

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私は犬舎を訪問するたびに思うのですが、犬のお世話をするスタッフは、みんな犬が大好きです。冬には寒風吹きすさぶ標高700メートルの山の中の犬舎で、毎日スタッフが犬たちと向き合っています。そのスタッフたちを、全国のサポーターの方々が支えてくださっていることで、この活動は成り立っています。たくさんの人の想いのこもったプロジェクトの仲間に加わり、応援していただけたら嬉しく思います。

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4. ご寄付の使い道

いただいたご寄付は、保護犬の医療費や食事代などの日常的にかかる飼育費用をはじめ、ピースワンコ・ジャパンが行っている保護譲渡活動の運営に活用させていただきます。使途指定のご希望がある場合も、できる限りご希望に沿うよう対応させていただきますのでご相談ください。
また、不動産のご寄付は、換価可能なもののみ受け入れ可能です。現金以外のご寄付を検討されている場合は、事前にご相談ください。

5.団体紹介

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・団体名
ピースワンコ・ジャパン(運営: 認定特定非営利活動法人ピースウィンズ・ジャパン)

・所在地
広島県神石郡神石高原町近田1161-2

・代表者
代表理事 大西 健丞 / プロジェクトリーダー 安倍 誠

・設立年
1996年(2012年:ピースワンコ・ジャパン活動開始)

<ミッション>
殺処分ゼロー人と動物が共生する社会へ

<活動紹介>

1. 日本中で「殺処分ゼロ」実現へ

保護した犬は、適切な治療とトレーニングを経て、里親さんを探します。全国10ヶ所にある譲渡センターでは、保護犬の特徴や性格などをご紹介したり、譲渡会を開催するなどの活動をしています。保護されてから人馴れし、新しい家族と出会うまでに時間がかかる子もいますが、1頭1頭が幸せな第二の犬生を掴めるように全力でサポートしています。

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2. 児童書になった災害救助犬・夢之丞(ゆめのすけ)
2010年に殺処分寸前で保護された夢之丞は、生後3か月の野犬の子犬でした。ピースワンコ初めての保護犬であり、活動の原点です。
厳しい訓練を経て、国内外の数々の現場で災害救助犬として活躍した姿は、私たちの希望となりました。今は看板犬として余生をのんびり過ごしながら、活動を見守ってくれています。

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3. 病気や高齢犬も最期まで愛情込めてケア
譲渡の難しい高齢のワンコや病気・障がいのあるワンコも、最期まで愛情を込めてお世話しています。獣医師や動物看護師のいる診療所も持ち、ご寄付によって医療機器などの器具・設備も、日々充実させています。夏の暑さや冬の寒さが厳しい時期も、365日体制で寄り添った医療や介護ができるのは、全国からの皆さまのご支援のおかげです。

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