すべての子どもが夢や希望を持てる社会を/キッズドア
2007年に任意団体として活動を開始し、17年を経た今では日本最大クラスの認定NPO法人として、日本国内の子どもへの支援活動を精力的に行っているキッズドア。「すべての子どもたちの夢や希望をかなえる」を合言葉に、困窮世帯の子どもへの無料支援を年々拡大。1か所から始まった無料学習会も広がりを続け、現在では75教室、毎年約2,000人の子どもたちに継続的に学習の機会を提供するまでに広がりを見せています。
さらに、コロナ禍や物価高騰の波により増加する困窮子育て世帯へ緊急の食料支援や文房具の支援をするなど幅広い活動で、明るい笑顔で未来を切り開く子どもたちを増やすべく活動を続けています。そんなキッズドアで、寄付関連の窓口を担当されている、平野弘一さんと広報担当者の方にお話を伺いました。
(取材日2024年4月24日)
平野 弘一氏
キッズドアで遺贈寄付の担当しております。 みなさまの「思い」を子どもたちの明るい未来の実現に結びつけることをいつも目指しております。
___まず、活動について少しお聞かせください。さまざまな形で、「子どもの今」を支える活動を展開されていらっしゃいますが、いま一番力を入れていらっしゃるのはどんな分野の活動なのですか。
平野)教育格差はまだまだ厳然として存在しています。加えて、コロナ禍や物価高による経済格差の広がりもあり、非常に追い詰められた状況にある困窮子育て世帯も少なくありません。給食に頼ることができない夏休みを何とか乗り切るための緊急/食料支援など、対処療法的な活動も行っていますが、一過性のサポートではなく、長期的なサポートになるような活動に、より力を入れていきたいと思っています。
例えば、非正規でトリプルワークをしなければいけないような状況にある親がいるとしたら、正規雇用になるような就労支援をするとか、ひとり親家庭の基盤の安定をつくる支援を検討しています。
また、私たちの活動は東京が中心なのですが、困窮子育て世帯は全国に存在していますので、当団体のノウハウを、ほかの地域で同じような想いを持って活動する団体に伝えるなど、プラットフォームづくりにも力を入れているところです。
加えて、理事長渡辺は、政府の委員会にも参加し、また政策提言やアドボカシー活動も行っていますので、行政の強い力を引き出せるように活動しているということも当団体の強みというか特徴の一つかもしれません。
様々な立場の人たちと協働して、社会全体で子どもを育てる。そういう社会を醸成していくために尽力していきたいと思っています。
___遺贈寄付には、いつごろから取り組まれているのですか?
平野)以前から、キッズドアの活動に共感してくれた方から、遺贈寄付の問い合わせをいただき、遺贈してもらったこともあったのですが、本格的に開始をしたのは2019年からです。
どの寄付も寄付くださる方の想いとともに受け取るものではありますが、遺贈寄付は金額も大きいことが多く、こちらとしても襟を正してしっかり受け取らなくてはと思っており、そのための体制をしっかり整えていかないといけないという想いがずっとありました。
2019年にようやく体制が整い、本格的に広報などもさせて頂くようになりました。
___寄付をされる方は、どんな方が多いのですか。遺贈寄付をされる方は既存の寄付者の方が多いのでしょうか。
平野)定期的に寄付くださるマンスリーサポートなど、寄付全般は、どの年代層が突出してということはなくて、本当に幅広い世代の方からご寄付いただいています。自分のお小遣いの中から寄付してくれる小さなお子さんもいらっしゃるんですよ。
相続財産からの寄付の場合は、亡くなられた方のご遺族から、本人の遺言書に書かれていたので、とお問い合わせいただくことも少なくありません。特に遺言書に記載はなかったけれど、親御さんの想いを慮ってということも。
最近は、若い世代の方も、以前より遺言書を書くようになっていると感じます。50代の、まだ現役バリバリで元気な方から、「将来のことを考えて、遺言書にキッズドアさんに寄付をしたいのだけれど、もしもの時には受けてもらえますか」、という問い合わせを頂いたこともあります。
でも基本的には、ご本人様よりも、相続をされた方からのご寄付が多いですね。ご寄付を考える方の多くが「子ども」と「教育」の分野に関心を寄せてくださっているというアンケートがあります。「子ども」と「教育」分野での寄付先を探す中で、我々のところにたどり着いて、お問い合わせくださる方もとても多いんです。
あとは、学習ボランティアとして関わった方がご寄付くださったり、ご寄付くださった方が学習ボランティアとして活躍くださるというケースも。
何らかの形で関わってくださる方には、なにか社会に貢献したい、次の世代につないでいきたいという強い想いがあるように感じています。
___遺贈寄付に関して、ここ数年で感じられる変化はありますか?
平野)私自身は、当団体に入職して4年目になるので、その間での実感値ではありますが。
入職したころに比べると遺贈寄付の文化が醸成されてきているように感じる場面が増えましたね。「終活」される方も増えてきていたり。独り身で、家族もいないから、自分が亡くなった後の生きた証をどういう風に残そうか、と考える方の一つの選択肢として、遺贈寄付が注目されてきているように感じます。新しい社会貢献の形、というか。
特に、この1年は問い合わせなどもかなり増えました。それまで、あまり遺贈寄付に対する社会的認知も高くなかった状況の中、相談件数も少なかったのですが、22年度に比べて、23年度は4~4.5倍の件数のご相談を頂きました。当団体は、みなし譲渡課税の非課税申告ができる数少ない団体の一つです。相続の際受け取られるのは、預金だけではなく不動産などいろいろな形があると思いますので、必要とされる方のニーズにできる限り応えられるよう、間口広くご相談にお応えできたらと思っております。
___関心の高まりがうかがえますね。活動をされていてやりがいを感じられるのはどんな時ですか。
平野)これまでに巣立っていった子たちの中には、医師を目指していたけれど経済的に厳しく諦めざるを得なかった子もいました。現在は、企業さんの寄付を受け、医学部を目指す子たちをサポートするコースがあって、国公立の医学部に入って頑張っている子もいるんですよ。
そういう、夢に向かって頑張る子どもたちの姿を見るのは、やはりやりがいになります。巣立っていった子が大学生になって、恩返しがしたいと、学習会のボランティアとして戻ってきてくれることもあります。そんな風に、途切れずに、想いや関係性がつながっていくのを目の当たりにすると嬉しくなりますね。
当団体のボランティアさんは、学生から80代の方までいろいろな方が活躍してくれています。皆さん、自分の人生経験を生かして、子どもたちが精神的にも経済的にも自立した大人になっていけるよう、背中を押してくれています。本当にありがたいです。
実は子どもたちと接しているうちに、ボランティアさんの側もどんどん元気になっていくというところもあって。子どもがどんどん変わっていく姿を見られるということは、自分自身のwell-being(ウェルビーイング)が上がることでもあるのだな、と感じます。
___活動は、多くの方の想いと行動に支えられているのですね。さまざまな活動を展開されていますが、遺贈寄付の際、使途指定される方も多いのでしょうか。
平野)使途は特に限定されていないですね。さまざまな活動をしていますが、「子どもの未来をつくる」というのが一貫したテーマです。そのテーマに賛同して寄付して下さる方が多いので、細かい活動の使途指定をして、というよりは、団体の活動全体を応援したいという想いでご協力くださる方が多い印象です。
もちろん、寄付者の方からご希望があれば、その要望に極力寄り添っていきたい、とは思っています。例えば、以前、ご子息を失くされた親御様からご寄付を頂いたことがあるのですが、ご子息の想いを何か形に残したいというご希望をお持ちでしたので、お子様の名前を銘板に記載して、学習ルームの入り口に飾らせていただいたケースもあります。
___最後に、遺贈寄付へのご興味をお持ちの方へのメッセージをお願いいたします。
平野)貴重な財産を日本の将来の社会に引き継いでいく、想いを次の世代につないでいく。そんな気持ちでご寄付くださる方の想いも受け取っています。寄付してくださった方の想いを、社会と、次の世代を担う子どもたちへつなぐ、つなぎ役をこれからも誠意をもって担っていきたいと思っています。遺贈寄付は、特別な人がする特別な行為ではありません。もし、何か社会の役に立ちたいという想いを持っていて、それを何らかの形で実現したいのであれば、想いを叶える一つのきっかけとして、当団体をご活用頂けたらと思います。
広報担当者)今までの話に付け加えたいこととしまして…。当団体には調査室という部署がありまして、困窮子育て家庭の状況を定期的に調査しています。厚生労働省などでの記者会見で結果を発表し、更に政府への提言なども行っています。また、社会からの信頼に足る団体であり続けるためにガバナンス強化を進めています。遺贈寄付にあたり、どんな活動をしているのか、今後も活動を継続していける団体なのか、という点を気にされる方も多いかと思いますが、ガバナンス強化や調査・提言等の活動面からも当団体をご理解いただけたらと思います。「社会全体で子どもを育てる」、そういう社会を醸成していきたいと思い、活動を続けています。想いが重なる部分がありましたら、ぜひお力をお貸しください。
例えば
10万円で‥‥生徒30人分の1教科分の教材代(問題集・参考書等)になります。
100万円で‥‥無料学習会の受験生60人が、1年間に2回、模試を受けられます。
700万円で‥‥無料学習会1クラスを1年間運営できます。
2,000万円で‥‥約7,500円相当の食料を2,600世帯の困窮子育て家庭に届けられます。
<遺贈・相続財産寄付の3つの方法>
・遺贈寄付(ご本人による遺産の寄付)
・相続財産からの寄付(相続人による寄付)
・お香典・お花料からの寄付(ご遺族などによる寄付)
★遺贈寄付に関するお問い合わせ窓口
TEL 03-5244-9992(平日10-17時)
フォームからのお問い合わせはこちら
・団体名
認定特定非営利活動法人 キッズドア
・所在地
東京都中央区新川2-16-10 プライムアーバン新川2階
・代表者
理事長 渡辺由美子
・設立年
2007年
・受賞歴
2018年 公益財団法人社会貢献支援財団より、社会貢献者表彰
2016年 日経ソーシャルイニシアチブ大賞 ファイナリストに選出
2013年 「ICT夢コンテスト2013」でCEC奨励賞受賞
【活動概要】
ビジョン
どんな境遇に生まれても、夢や希望を持って、生き生きと成長できる、子どもの笑顔があふれている、私達はそんな社会の実現を目指しています。
ミッション
キッズドアは、子どもと社会をつなぐドア。子どもが幸せに成長できる社会をつくるため、活動しています。どんな環境にいる子どもたちにも、フェアなチャンスがある社会システムをつくりたいと願い、社会システムの隙間に落ちてしまっている子どもたちに支援を届けています。また、大きなチャレンジをしている子どもたちが大きく羽ばたくことを応援しています。さらに、社会全体で子どもを育てていけるよう、企業・行政・団体・学校・地域・保護者など様々なステイクホルダーを結び付けるプラットフォームになり、子どもは将来を担っていく存在であること、その子どもと家庭、地域を包括して支援することの重要性を常に社会に訴えかけてまいります。
活動内容
子どもの教育格差をなくす事業
家族の笑顔を取り戻すファミリーサポート事業
調査・提言・啓発活動