海外と日本、医療が届かない地で子どもたちの命を救う遺贈寄付/ ジャパンハート
ジャパンハートは、小児外科医・吉岡秀人氏が、たった一人でミャンマーにおいて医療支援活動を始めたことから誕生した、日本発祥の国際医療NGOです。東南アジア地域を中心に、国内外でさまざまな理由により医療の手が届かない人たちに医療を届け続けてきました。小児がんの手術をはじめとする無償の高度医療を含む治療は年間約4万件、これまでの累計は35万件を超えます。現地に深く根を下ろし、目の前で苦しむ人たちに向き合い、「こころも救う医療」を大切にしてきたジャパンハートで、寄付担当をされている皆川夏子さんにお話を伺いました。(取材日:2025年2月3日)
皆川 夏子さん
金融機関にて13年間の勤務の後、ジャパンハート入職。マーケティンググループに所属し、法人・個人支援者、遺贈寄付担当。2024年よりマーケティンググループリーダー。
___まずは、団体立ち上げの経緯から伺えますか。
ジャパンハートは、小児外科医の吉岡秀人がミャンマーで医療支援活動を始めたことから活動をスタートしました。吉岡は、もともと「誰かの役に立ちたい」という想いが強く、医師こそが最も人の役に立てる職業だと考え、医師の道を選びました。国内の病院で勤務していたとき、ミャンマーの戦没者慰霊団の方とのご縁をきっかけに、同国での医療支援活動に携わることになりました。
ミャンマーで活動を始めてからは、ラオスやカンボジアなど東南アジアを中心に、医療の手が届かずに苦しんでいる人たちに医療を届ける活動を続けています。2011年には、東日本大震災を機に国内での緊急支援活動も始め、現在は、へき地や離島への看護師の派遣や、小児がんと向き合うご家族の外出支援など、日本国内での活動にも力を入れています。
___支援を受けた方たちからのメッセージやエピソードがあれば、ぜひ教えてください。
海外と国内、それぞれからいただいた声をご紹介します。私たちは2016年からカンボジアで自前の病院を運営しており、この病院には、貧困のために十分に医療を受けられない方が多く訪れます。「この病院がなかったら、私も子どもも助からなかったかもしれない。ありがとう」という感謝の言葉を、これまでにたくさんいただきました。私たちは同じ地で長く活動を続けているため、そのこと自体への感謝をいただくことも少なくありません。
国内では「スマイルスマイルプロジェクト」という、小児がんの子どもたちと向き合うご家族に寄り添う支援を行っています。参加されるのは、がんサバイバーや末期がんの子どもたちです。症状もさまざまですが、最近は余命宣告を受けた重度の子どもたちのご家族からのご依頼が続いています。闘病生活が続き、なかなかご家族での外出や思い出作りができなかった方々です。
「治療ばかりで、行きたいところに連れて行ってあげることもできなかったけれど、『スマイルスマイルプロジェクト』で願いを叶えて笑顔を見ることができました」「素敵な思い出と写真を残すことができました。これからまた治療に取り組んでいく力をいただきました」こうした声をいただくたびに、私たちも活動の意義をあらためて感じることができています。
___活動を支援している寄付者の方はどのような方が多いのですか。
個人の方からのご寄付と企業からのご寄付をいただいています。個人の方は、マンスリーサポーターとして継続的にご支援くださる方もいれば、都度のご寄付をくださる方もいらっしゃいます。メディアで取り上げられたことをきっかけに活動を知り、ご支援くださる方も多いですね。
2023年からは紺綬褒章の推薦ができる公益団体となったこともあり、“国からも認められた団体”として信頼感を持ってくださる方も増えています。紺綬褒章の推薦は、一定額以上のご寄付をいただいた場合に限られますが、「紺綬褒章にご推薦できます」とお伝えすると、喜んでくださる方も多く、私たちも嬉しい気持ちになります。
___遺贈寄付に取り組み始めた経緯をお聞かせください。
4年ほど前に、遺贈寄付と相続財産からのご寄付をいただいたことがきっかけです。比較的、額が大きかったこともあり、その想いをしっかり受け止めるために、体制を整えていこうと考えました。とはいえ、ホームページなどで本格的に告知できるようになったのはまだ最近で、お問い合わせも年々少しずつ増えてきている、という状況です。
これまでにいただいたご寄付も、私たちに直接ご相談があったケースよりも、銀行や士業の先生から「この方がご遺贈でジャパンハートを指定しています」とご連絡をいただいたケースが多いですね。
___遺贈寄付の担当をされていてやりがいを感じるのはどんな時ですか?
遺贈のご連絡は、ご遺族様から頂戴することが多くあります。そこにはしばしば、「故人が生前、ジャパンハートの活動に深く共感していた」というお言葉が添えられています。
私自身もこの活動に強く共感し、現地で奮闘するスタッフを心から誇りに思っています。支援者様のお気持ちを現場へ橋渡しすることが私の役目であり、その声を確かに届けられることに大きなやりがいを感じています。
また、遺贈寄付というと、終活と関わる部分が多く、身近には感じにくい方も多いかもしれません。私も対応を重ねる中で知識を深めてまいりました。その経験を生かして、お問い合わせくださった方の不安や困りごとを少しでも解消するお手伝いができるととても嬉しく、これもまた、私がこの仕事に向き合う大きな原動力です。
___最後に、遺贈寄付に興味を持っていらっしゃる方にメッセージをお願いします。
当団体の活動に関心をお寄せくださり、誠にありがとうございます。ジャパンハートではさまざまなプロジェクトに取り組んでおり、ご寄付をいただけます際は、個々のプロジェクトを指定してのご寄付も可能です。各活動のご紹介についても承っておりますので、何か気になることがございましたら、ぜひご連絡ください。
最後に、現在最も力を入れているプロジェクトについて、お伝えさせてください。私たちは今、2025年10月の開院を目標に、カンボジアで新しい病院を建設しています。この病院が完成すれば、さらに多くの東南アジアの子どもたちの命を救うことができます。
東南アジアというと、あまり身近に感じられない方もいらっしゃるかもしれません。しかし、このカンボジアの病院と日本の医療は、実は地続きです。少子高齢化が進む日本では、小児医療の現場で医師が経験できる症例が減り、技術を磨く機会も限られています。一方、子どもの数が多い東南アジアの病院で経験を積むことで、多くの症例に触れ、技術を磨き、日本に戻ってからも国内の医療現場でその力を発揮することができます。
カンボジアの病院での活動は、現地の医師や医療スタッフの育成だけでなく、日本の医療者の成長や小児医療のレベル向上にもつながります。海外の子どもたちを救うことは、日本の子どもたちの命を守ることにもつながっている――そのことを知っていただけたら嬉しく思います。
個別プロジェクトのご指定も可能ですし、特にご指定のない際は、当団体が取り組んでいるさまざまなプロジェクトに活用させていただきます。
また、ご寄付の方法として、原則、不動産などの現物でのご寄付は受け付けておりませんが、換金が可能な場合はお受けしております。まずは一度、お気軽にご相談ください。遺贈寄付のほか、故人のご遺志を反映した「相続財産からの寄付」「香典返し寄付」も対応可能です。
いただいたご支援は、活動に大切に使わせていただくことをお約束いたします。
<お問い合わせ・資料請求窓口>
ジャパンハート東京事務局
電話:03-6240-1564 (平日10:00〜17:00)
お問い合わせフォームはこちら
・団体名
認定特定非営利活動法人 ジャパンハート
・所在地
東京都台東区寿1丁目5-10 1510ビル3階
・代表者
理事長 吉岡 春菜
・設立年
2004年
<ビジョン>
すべての人が、生まれてきて良かったと思える世界を実現する。
<ミッション>
医療の届かないところに医療を届ける。
<活動内容>
1. 助かるはずの命が助からない、を変える
2016年からカンボジアで運営している自前の病院では、高度医療・高額治療費が必要なために先進国との生存率格差が深刻な小児がんの無償治療に注力。アジアの小児医療の現実と向き合い、支援の道を切り拓いています。
2. アジアを代表する無償の小児医療センター開設へ
現病院ではこれ以上多くの子どもを救うことが難しいため、キャパシティ/アクセス面を改善した新たな病院を、2025年秋に開院いたします。先進的な取り組みを実現し、命だけではなく心を救う医療を実践する病院を目指します。
3. 被災地に継続的に寄り添う
能登半島地震では、発災当日から対応にかかり、現在でも継続的な支援を行っています。ミャンマー地震においても支援を実施。いつ起きるかわからない災害に備え、専属のチームが日々活動しています。