遺贈寄付は怪しい?専門家がメリットと利用時の注意点を解説!
近年、「遺贈寄付」という言葉が様々なメディアでも取り上げられるようになってきており、実際に遺贈寄付を行う方も増えてきています。
一方で、遺贈寄付の仕組みはまだまだ新しい考え方であるため馴染みが薄く、
「遺贈寄付って怪しい仕組みじゃないの?」「遺贈寄付をしても本当に大丈夫なの?」と不安を感じてしまう方も少なからずいらっしゃるかと思います。
今回の記事では、遺贈寄付の文化を日本に広げる活動を行っている日本承継寄付協会(Will for Japan)のライターが、遺贈寄付は怪しいのかどうかや、実際に遺贈寄付を行う際の具体的なメリットと注意点について解説いたします。
まず、「遺贈寄付は怪しい仕組みなんじゃないか?」と感じている方向けに、遺贈寄付の概要について解説いたします。
遺贈寄付とは、遺言によって自身の財産の一部または全てをNPO法人や学校法人、自治体などに寄付をすることです。
また、遺贈寄付を行う際の寄付先は自身の意思で決めることができます。
そのため、自身でしっかりと寄付先の情報を集め、信頼できる団体に寄付を行えば、その寄付金は寄付先の活動に使われ社会貢献に繋がっていきます。
一方で、遺贈寄付に限らず、寄付や投資に関しては詐欺やトラブルに巻き込まれてしまう可能性もあるため、細心の注意が必要です。
遺贈寄付を行う際は、相続案件の実績がある事務所にお願いすると安心です。遺言書の作成は人生の最後を託すため、一番大切なのは、ご自身が”この人にお願いしたい”と思える方にお願いすることです。
また、信頼できる情報源を元に寄付先を選んでいくことが大切です。日本承継寄付協会では、「えんギフト」という冊子で遺贈寄付についての信頼できる情報を届けています。無料で配布しておりますので、お気軽にご請求ください。
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適切な手順を踏み、検討を進めていけば、遺贈寄付は怪しいものではありません。遺贈寄付によって思いやりが次世代の取り組みに繋がり、循環していくようになります。
もちろん、最終的に遺贈寄付を行うかどうかは自身で判断するもので、不安なまま無理に遺贈寄付を行う必要はありません。今回の記事を参考に、ぜひ遺贈寄付について理解を深めてみてください。
遺贈寄付を行うことによって、実は様々なメリットがあります。
ここからは、遺贈寄付を行うことによるメリットについて具体的に紹介していきます。
■財産の使途を自分で決められるようになる
まず、遺贈寄付では財産の使途を自分で決めることができるようになります。
遺贈寄付の寄付先には様々な団体がありますから、自身の興味関心や、解決したい社会課題に合わせて財産の使途を選ぶことができます。
■少額からでも寄付ができる
また、遺贈寄付は少額からでも問題なく寄付ができます。
遺贈寄付はお金持ちが行うものだというイメージがある方もいらっしゃるかと思いますが、誰もが少額から想いとお金を生かすことができるのが遺贈寄付です。
もちろん、相続人に財産を残しつつも、財産の一部だけを遺贈寄付するという事もできます。
■老後資金の心配がいらない
遺贈寄付を行う場合、特に気になるのが老後資金の心配かと思います。
ですが、遺贈寄付は最期に残った財産から寄付を行う仕組みのため、生前の資金に影響がなく寄付ができます。
また、遺言書に書いたからといって必ず財産を残さなければならない訳ではなく、遺言書は何度でも書き換えることができるため、最期に財産が残るかどうか分からず不安な方でも問題ありません。
■節税効果がある
遺贈寄付には、実は節税効果もあります。
実は、財産を相続するときに発生する相続税は遺産総額に対して課税されるのではなく、遺贈寄付をした財産は非課税となり、その結果として課税される財産が減る分、相続税が減少します。
遺贈寄付を行うことで、遺贈した財産は相続税の課税対象にならず、結果的に節税に繋がります。ただし、その寄付が相続税を不当に減少するために行われた行為とみなされると(=相続税逃れ)、遺贈を受けた法人を個人とみなして相続税が課税されます。
■社会貢献に繋がる
遺贈寄付を行うことで、社会貢献に繋がることも大きなメリットです。
実際に遺贈寄付を行った方の多くが、「社会の役に立ちたい」「寄付先の活動に共感」といった理由で寄付を行っています。
■後世に想いや名前が残せる
遺贈寄付を行うと、少額からでも感謝状が贈られたり、銘板で名前を残すこともできます。また、金額によってはオリジナルの形に残るものや、名前をつけた基金を作ることもできます。
後世に想いが残せるのはもちろん、自身の名前を残すこともできるのが遺贈寄付の魅力です。
■家族や周りの人に誇りに思ってもらえる
最後に、遺贈寄付を行うことで、家族や周りの人に誇りに思ってもらえるということもメリットの一つです。近年では遺贈寄付の認知度も高まってきており、家族や周りの人にも自身の想いが伝わりやすくなってきています。
全国調査では、8割の相続人が少額の遺贈寄付のことを好意的に受け止めていたというデータもあります。
これまで紹介してきたように、遺贈寄付を行う事には社会貢献だけではなく、節税効果などの様々なメリットがあります。
一方で、実際に遺贈寄付を行う際にはいくつかの注意点もあります。ここからは、遺贈寄付を行う際に意識しておくべき注意点について紹介していきます。
■遺留分
遺贈寄付を行う際には、遺留分についても理解した上で寄付金額を考えておく必要があります。
配偶者や子ども等は法律で定められた額の財産を請求することができ、これを遺留分といいます。遺贈寄付では、遺留分を超えて寄付をすることも可能ですが、その場合、配偶者や子どもとトラブルになってしまう可能性が少なからずあります。
自身の財産の遺留分については事前に専門家と確認しておくことをオススメします。
■不動産や有価証券など現物の寄付
また、財産として不動産や有価証券など現物の寄付を検討されている方は、そのままだと寄付ができない可能性があるため注意が必要です。
不動産や有価証券は現物のまま寄付できるケースが少なく、不動産の遺贈寄付もできますが、その場合は遺言執行者もしくは団体側で売却されます。
不動産や有価証券に限らず、現物の寄付を行う際は、トラブルを避け、希望通りに遺贈をするためにも事前に寄付先に相談をしておきましょう。
■みなし譲渡税
不動産や株式を換価して遺贈寄付を行う場合、寄付先団体ではなく相続人に課税されてしまう恐れがあります。具体的には、換価する不動産や株式の含み益に対して課税が行われ、このことを「みなし譲渡課税」と言います。
課税金額等によっては相続人とのトラブルになってしまう可能性もありますので、不動産や株式を換価して遺贈寄付を行う場合は慎重に検討を進める必要があります。
事前に専門家と寄付先と協議の上、寄付先団体が税金を支払えるように遺言書を作成するのがおすすめです。
今回の記事では、「遺贈寄付は怪しい?」というテーマで、遺贈寄付を行う具体的なメリットや注意点について解説しました。
遺贈寄付はまだ新しい考え方であるため、「どこか怪しいんじゃないか?」「遺贈寄付をしても大丈夫なんだろうか?」と不安になってしまう方もいらっしゃるでしょう。
遺贈寄付を行う際は、専門家にも相談をしながら、信頼できる情報を元に寄付先の団体を選んでいく必要があります。
また、遺贈寄付を行うためには必ずしも大金は必要なく、1万円などの少額から寄付が可能になっています。遺贈寄付が不安な方は無理せずに少額から寄付を行うことも選択肢の一つです。
今回紹介した遺贈寄付のメリットや注意点を踏まえて、遺贈寄付を行うかどうか検討してみてください。
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執筆:藤田大地